食品加工機 技術情報・マイクロ波加熱の特長
マイクロ波加熱は、その特性を活かして多くの分野に利用されているが、もっとも古くより実用化が進んだのは、食品工業への応用です。それは食品が、多くの水分を含み、最もマイクロ波加熱に適しているからでしょう。
■食品加熱におけるメリット
食品に利用される場合、他の一般的な加熱法に比較して、次のような有利な点があります。
- 加熱が迅速で内部まで加熱できる
- 加熱がクリーンで清潔にでき、環境の汚染がない
- 容器や包装などを通して食品そのものを加熱することができる
- 乾燥においては均一性が高い
- 加熱温度の制御が容易である
- 殺菌や防黴効果がある
- 装置はサニタリー性が高く、清潔である
■食品工業への応用
食品工業への応用を機能でわけると、大きくは次のように分けることができます。
①調理
家庭用や業務用では、電子レンジが最も普及した装置です。工業用としては、イベントや博覧会場などで一度に大量に消費される調理済みのお弁当などに対して、トンネル式の装置による連続的な再加熱に利用されています。
②解凍
生鮮状態で-20から-30℃程度に凍結された食品を-2℃から-5℃程度の半解凍状態にするテンパリングとして利用されています。工業的な利用においては、最終製品である調理済み食品より、牛、鶏、豚などの原料畜肉の解凍に多く使われています。
③乾燥
従来の乾燥法では、外部から熱を与えて食品中の水分を蒸発させるため、乾燥は外部から進み、水分が少なくなると非常に長時間かかります。これに対してマイクロ波乾燥は、含水率が低いところでも速度を落とさず経済的に乾燥できます。熱風の併用や減圧下で行われることがあります。
④殺菌、防黴
加熱温度により殺菌や防黴効果が発生します。60℃~90℃では、一般生菌やカビ菌に対する効果。加圧下で120℃~130℃まで加熱するとレトルト殺菌と同様の殺菌効果をあげることができます。