マイクロ波加熱の応用例
連続式マイクロ波乾燥装置
表5-5と写真5-6に連続式のマイクロ波乾燥装置の概略仕様と外観を示します。2450MHzのマイクロ波発振器は、マグネトロンが収納された発振部と電源部に分離されており、発振部はオーブンの側面に配置された導波管で接続されています。電源部は、温湿度環境を整えたケーシング内に設置されており、発振部とは高圧ケーブルなどで接続されています。オーブンの上には、熱風循環のための熱交換器と循環ファンが設置されています。オーブン内部は、仕切り板で2室に分かれており、1室ごとの投入されるマイクロ波電力量当りのオーブン体積(PV値、l/kW)と被乾燥物単位重量当りの電力量(PD値、kW/kg)を1室と2室で段階的に下げることで、乾燥の進行状態に合わせた適切なマイクロ波乾燥が行えるようになっています。被乾燥物は、コンベアベルト上に整列されてオーブンに連続的に挿入され、マイクロ波加熱と温湿度制御された空気循環により、短時間に効率的に目的とする含水率まで乾燥がされます。
合計出力 | 240kW |
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周波数 | 2450MHz |
発振器出力 | 6kW/台 |
コンベア幅 | 60cm |
表5-5 マイクロ波乾燥装置の概略仕様
写真5-6 連続式マイクロ波乾燥装置
2450MHzでは、一般的に使用している1台の発振器の最大出力は6kWとなるため、出力100kWや200kWを必要とする大型装置では発振器(発振部、電源部)や導波管、チューナーなどの付帯部品などを何十台分も取り付ける必要があり、装置が複雑でコストアップになります。
一方、915MHzでは、1台の発振器で最大100kWの出力まで対応できます。915MHzの装置は、発振器や導波管類が非常にシンプルとなり、出力当りの装置コストは安価となります。また、表5-7に示すようにマグネトロン自体の変換効率が、2450MHzの73%と比べて915MHzは85%と非常に高いのです。このため発振器の発振効率も高くなり、ランニングコスト面も有利です。無線設備規則による電波漏洩の規制は厳しいですが、シールド技術の向上により今後は食品分野でも利用が進むものと期待されます。
周波数 | 2450MHz | 915MHz |
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最大出力/台 | 6kW | 100kW |
マグネトロン効率 | 73% | 85% |
発振器効率 | 62% | 73% |
表5-7 マグネトロン、発振器の効率
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