マイクロ波加熱の応用例
食品業界
(1) 食品の殺菌・防黴・殺虫(前ページより続く)
④ 高粘性・スラリー状食品の殺菌
図19.3.5 高粘性被加熱物加熱システム図
高粘性状食品は流動性が悪く、熱伝導率も小さいため、品質を損なわずに外部加熱で殺菌することは難しい。又、固形物が入ったジャムのような食品の場合も、固形物と液体の比熱や熱伝導率の違いから、これまた均一に加熱することは意外と困難である。
図19.3.5 はバッチ式オーブン内にテフロン製パイプを設け、その中を流れている高粘性・スラリー状食品をマイクロ波加熱殺菌する装置のシステムフロー図である。このシステムでは、マイクロ波オーブンに入る前の食品でマイクロ波加熱された高温の食材を冷却する熱交換器機能を備えているのが特徴で、省エネルギー策を講じている。出力は処理量により異なるが数kW~数十kW、周波数2450MHzである。10mm角程度の果肉入り糖液の場合、到達温度70℃で大腸菌数7*104個/g程度のものが、果肉を含め「大腸菌を検出出来ず」の結果を得ている。
尚、本例ではパイプを箱形オーブン内に設けているが、定在波導波管形加熱炉を利用すれば、マイクロ波吸収効率が前者の70%前後に対して、後者は90%以上確保可能である。更に、被加熱物を所定温度に加熱するのに要する時間は、前者の数分に対して後者は十数秒と短く、温度上昇速度(℃/秒)が一桁以上大きくなるのが特徴である。
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