木材加工機 技術情報
高周波・蒸気複合乾燥とは

高周波で材心を加熱、熱気で乾燥のハイブリッド型

■よい乾燥とは

木材の乾燥は、単に含水率を下げるためにおこなうのではなく、木材の良さを生かしながら強度性能と寸法安定性を確保するためにおこなうのが本来の目的です。

木材の良さを損ない、木材にダメージを与えるような乾燥方法では、本来の目的を歪めてしまいます。木材に合わせた、木材にもやさしい乾燥が不可欠です。

乾燥法の違いによる乾燥品質の違い

強度性能と寸法安定性が確保された乾燥材とは、まず材面割れ、内部割れが少ないこと。仕上含水率が15%以下であり、かつ材心と表層部の含水率差、長尺方向(中央部と木口部)の含水率差、つまり全体の水分傾斜が少ないこと。また、できる限り変色が少ない(木材本来の香りが残る)ことが望まれます。

スギ平角材(240×135×400(mm))
右:高周波・蒸気複合乾燥
左:高温乾燥 9日間

■乾燥方法の違いとメカニズム

外部加熱では時間がかかり、均一な加熱の難しい木材。高周波が内部から加熱して、乾燥を促進します。

乾燥のメカニズム

複合乾燥は、一般的な蒸気式乾燥(外部加熱)に高周波加熱(内部加熱)を併用し、お互いの利点を組み合わせたものです。乾燥機内は、70~90℃程度の中温度の熱気乾燥を進めながら、同時に高周波加熱により水分の多い材心部を選択的に100℃程度に昇温します。


木材の内部温度分布(サーモグラフィー写真)

外部の熱気温度と木材内部温度に温度勾配が発生し、内外面に優位な圧力差が発生することにより、材心部の水分が外側に向かって積極的に押し出されます。この結果、乾燥の迅速化が進められ、また水分傾斜が容易に解消され、均一な乾燥が実現されます。

■ハイブリッド型乾燥「高周波・蒸気複合乾燥機」について

高性能の蒸気式の高温・中温乾燥機に、最先端の高周波加熱設備とそのコントロール機器が組み合わされ一体化。

  • ①桟積みして積込みます。

    蒸気式熱気乾燥を効率よくおこなうため
    桟積みをおこないます。

  • ②電極板を入れます。

    桟積み間に高周波電極板を挟み込み、
    高周波誘電加熱を行います。

  • ③高周波で材心を加熱します。

    高周波発振機の高周波エネルギーを乾燥機炉体ごと、
    台車ごとに切り替えて供給します。

  • ④高周波と蒸気を併用します。

    高周波で木材の材心を加熱し、
    外部は蒸気式熱気乾燥をおこないます。

  • ⑤高周波を順番にかけます。

    積込みグループごとに高周波を
    切り替えてローテーション加熱します。

⑥高周波の電力量を調整します。

推定される初期含水率より2~4つのグループに選別します。
グループ別に乾燥に必要な脱水量を計算し、適切な高周波電力量を自動調整します。

⑦高周波で仕上をそろえます。

高周波が自動的に調整され、仕上含水率をそろえます。