高周波とマイクロ波の加熱技術
ここでは、電波加熱(高周波、マイクロ波)についてお客様から多くいただくご質問についてお答えし、関連情報をご案内していきます。
- Q1:電磁波ってなんですか?
- A1:電磁波は、空間中を互いに直行した電場と磁場が早い周期で交番しながら伝わっていき、その速度は光と同じです。 電磁波は周波数の高いものから、X線やγ(ガンマ)線などの放射線、可視光線や赤外線などの光線、電波、低周波電磁界に大別されます。 さらに電波は、長波・中波・短波・極超短波などに分かれます。 電波は、テレビ・ラジオ・携帯電話などの通信に使われたり、電子レンジなどの加熱に使われたり、私達にとって最も身近な電磁波と言えます。
- Q2:電波加熱の特徴はなんですか?
- A2:誘電損による誘電加熱により物質そのものが自己発熱しますから、加熱が早く、物質の内部と外部の温度差が少なく均一に加熱できることです。
- Q3:電波を使った加熱と普通の加熱とどう違うの?
- A3:物質の加熱は内部加熱と外部加熱に大別することができます。物質の外部にある熱源により、物質の表面より熱伝導や対流などにより徐々に内部へ加熱が進んでいくのを外部加熱と言います。一般的には、直火・熱風・スチーム・電熱などがこの外部加熱です。これに対し、内部加熱は物質そのものが自己発熱することにより、内部と外部が同時並行的に加熱されていきます。高周波加熱やマイクロ波加熱(総称して電波加熱)がこの内部加熱にあたります。
- Q4:高周波とマイクロ波の違いが分かりません
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A4:どちらも電磁波の中の電波の1つです。誘電加熱されるメカニズムは、同じです。
波長が短く、センチメートル単位のものをマイクロ波(Micro Wave)、それよりも波長が長く、メートル単位のものを高周波(Radio Frequency)と呼んでいます。誘電加熱に使われる周波数の範囲は、一般的に3MHz~3GHzです。 - Q5:高周波やマイクロ波による電波加熱によって何ができるのですか?
- A5:外部加熱では出来ない加熱処理ができます。例えば、インスタントのカップメンに入っている乾燥卵などは、マイクロ波加熱により急速に乾燥・膨化されたもので他の熱源では真似できないものです。木材分野では、高周波加熱と熱風による加熱を併用することで、通常の乾燥では何週間もかかる大きな木材を1/2から1/3の短時間で高品質に乾燥できます。医療分野では、身体の深部の臓器を加温して治療するがんの温熱療法、その他、工業用セラミックの乾燥、焼成・焼結、プラズマ処理などにも広く利用されています。
- Q6:真空中での加熱ができますか?
- A6:燃焼式の加熱は、真空中では出来ませんが、電波による誘電加熱は真空中あるいは高圧下での加熱もOKです。また、レンジ食品で周知のように包装された製品であっても加熱が可能です。
- Q7:自社で扱う素材の加工について、電波のどの周波数帯が適しているのか分かりません
- A7:それぞれの素材のもつ電気的な特性により、加熱に適する周波数帯は、変わります。電波を使った誘電加熱においては、山本ビニターではほぼあらゆる周波数帯をご提案することができます。まずご相談いただければ山本ビニターのセールスエンジニアが対応致します。また、無料試験などを行い最適な加熱方法をご提案いたします。
- Q8:前にマイクロ波で冷凍の牛肉を解凍しようとして失敗しました。部分煮えや焦げが発生してうまくいきません
- A8:加熱対象物の厚みが大きいと、マイクロ波が内部に十分浸透せず、表面だけが加熱されてしまうことがあります。もう少し周波数の低く、エネルギー深達性の高い高周波帯(3MHzから300MHz)での加熱をお試しになることをお勧めします。
- Q9:木と木をどうやって高周波で接着するのですか?
- A9:木と木同士が、お互いにくっつき合うわけではありません。 接着剤により結合されるのです。木材接着の原理は、接着剤による投錨効果(木材表面に錨を下ろしたようなもの)と 接着剤中の分子と木材中の分子が引き合う力によるものです。木材接着に利用される接着剤は、でん粉や膠などの天然系と合成樹脂系に大別されますが、高周波加熱による接着で利用されるのは、合成樹脂系です。 合成樹脂接着剤には、酢酸ビニール・塩化ビニールなどの熱可塑性系と フェノール・レゾルシノール・ユリヤ・メラミンなどの熱硬化性があります。これらの接着剤の接着力は強く、煮沸などを繰り返した後、引っ張り試験などをしても、木材自体が破壊(木破)するほどです。
- Q10:915MHzのマイクロ波装置を工業用に利用したいのですが、ISMバンドで認められていないと聞いています。日本国内で使えますか?
- A10:ある条件を満たすことで使えます。電波漏洩を基準内に抑制することです。使用する周波数がISMバンドであれば、装置から漏洩する電界強度の最大許容値は定められていません。一方、915MHzを使用する場合は、無線設備規則65条により100mで100μV以下に抑制する必要があります。この基準は非常に厳しい数値であり、装置からの漏洩電磁界を厳密に管理する必要があります。山本ビニターではこのような電磁波シールド技術に多年の実績とノウハウがありますので、是非ご相談下さい。
- Q11:ある新規商品を企画していますが、実際に製造可能かの実証試験を行いたいと思っていますが協力していただけますか?
- A11:もちろんです、当社では各種試験に対応できるテスト機や、実験結果を測定する為の測定器を多数取り揃えており、皆様に協力できる体制を整えております。まずは、もの造りセンターの「無料試験」へお問い合わせ下さい。
- Q12:高周波やマイクロ波の装置を導入するときの注意点ってなんですか?
- A12:高周波やマイクロ波は上手に使うと非常に大きな効果がありますが、使い方を誤ると導入効果が得られません。まず何よりも、経済性の検討が重要です。電磁波エネルギーは、省エネには貢献することができますが、電気から変換されるため、エネルギー自体の価格は、他の石油やガスなどに比べ高価です。また、加熱装置も一般的な従来装置より比較的高価となりますので、投資に対する収益効果をよく見極めて導入を検討する必要があります。生産性がどの程度向上するか?エネルギーコストがどの程度削減できるのか?歩留まりの向上は?品質の向上は?これらを総合して、経済的メリットを出せる場合に導入可能です。
- Q13:工場が狭く、天井も低いので、既成の機械の設置が難しいのですが…
- A13:山本ビニターの製品はスタンダード品と言っても1台1台お客様に最適な形で設計、組み立てを行っています。例えば高周波発振器を機械本体に上置きにしている装置も、その発振器の取り付け位置を変えることで天井の低さに対応することができます。まずは弊社製品をご確認いただき、この場所にこれぐらいのサイズで設置したいといったご希望をお知らせいただければ幸いです。
- Q14:高周波装置を導入する際には、届が必要なのですか?
- A14:はい、出力50W以上の高周波やマイクロ波装置を設置する際には、電波法第100条の規定により、設置者は必要書類を揃えて各地域の総合通信管理局に設置許可の申請をしなければなりません。また、設備を改造したり、設置場所を移設する場合などには「設備変更届」、設備廃却の場合には「設備廃止届」が必要です。これらの届け出に関しましては、弊社がお客様に代わって手続きを行うことができます。
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