安全基準など法的規制
無線設備規則六十五条の指針値
高周波を使用する場合の「設備規則」は、まず、昭和25年の「無線設備規則六十五条」に以下のように定められています。
表8-2-1/電波防護指針に示されている電磁界強度指針値(6分間平均値)
(電界強度の許容値) 第六十五条 通信設備以外の高周波利用設備から発射される基本波又はスプリアス発射による電界強度の最大許容値は、別に告示するものを除き、次の各号のとおりとする。 一 医療用設備 三〇メートルの距離(当該設備が設置されている建築物その他の工作物の敷地及びこれに隣接する区域でその設置者の占有に属する区域の境界とその設備との距離が三〇メートルをこえるときは、その境界)において毎メートル一〇〇マイクロボルト以下 二 工業用加熱設備 一〇〇メートルの距離(当該設備が設置されている建築物その他の工作物の敷地及びこれに隣接する区域でその設置者の占有に属する区域の境界とその設備との距離が一〇〇メートルをこえるときは、その境界)において毎メートル一〇〇マイクロボルト以下 三 各種設備 (1)高周波出力五〇〇ワツト以下のもの 第一号に同じ。 (2)高周波出力五〇〇ワツトをこえるもの 第二号の値をこえない範囲において、第一号の値に (Pは、高周波出力をワツトで表わした数とする。)を乗じた値以下。 |
日本におけるISMバンドの最大許容値の特例
無線設備規則六十五条の「別に告示するものを除き」との記載に該当する特例として、昭和46年の郵政省告示257号で、ISMバンド(高周波帯では13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、マイクロ波帯では2450MHz、5800MHz、24125MHz)では、最大許容量を定めないとされています。なお、日本では915MHzは指定されていません。つまり、これらの周波数帯域では漏洩電波で発生する電界強度の制限がありません。もちろん、人体への影響を抑えるため電波防護指針の遵守は必要です。次ページ、郵政省告示257号の内容です。
(無線設備規則第六十五条の規定による通信設備以外の高周波利用設備から発射される基本波又はスプリアス発射による電界強度の最大許容値の特例) 無線設備規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十八号)第六十五条の規定により、通信設備以外の高周波利用設備から発射される基本波又はスプリアス発射による電界強度の最大許容値の特例を次のように定め、昭和四十六年四月一日から適用する。 昭和四十四年郵政省告示第三百七十三号は、廃止する。
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以上の結果、ISMバンドの取り扱いをまとめると、次のようになります。
割当周波数 | わが国での取り扱い | 加熱名称 |
---|---|---|
13.56MHz±7kHz | 郵政省告示257 号で無線設備規則適用外 | 高周波(誘電)加熱 |
27.12MHz±163kHz | ||
40.68MHz±20kHz | ||
915MHz±13MHz | 無線設備規則第六十五条二号の規定適用 | マイクロ波加熱 |
2450MHz±50MHz | 郵政省告示 257 号で無線設備規則適用外 | |
5800MHz±75MHz | ||
24125MHz±125MHz |
なお、915MHzをはじめとして、郵政省告知257号の特例の対象とならない一般の周波数においては、電波防護指針の値は「装置から5cmの距離」を示し、一方の無線設備規則は「装置から100mの距離」で示されていますが、電界強度・電力密度の許容値は、無線設備規則の方が電波防護指針に比べて、桁違いに厳しい数字となっています。つまり、ISMバンド(915MHz を除く)以外の周波数を利用する場合は、厳密な管理のもとの設置が求められます。
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