山本ビニターの歴史
食品加工分野や医療機器で大きな進化
創立40周年を迎えるころには、山本ビニターはすでに40業種以上に対して高周波応用機器を開発・販売する会社となっていました。医療部門で世界的な話題となったがん温熱治療装置「サーモトロン-RF8」の開発成功で、「技術の山本」の名は不動のものとなりました。
この時期には木工の分野で単板積層材(LVL)で最大厚み200ミリの生産技術を確立。当時の限界90ミリをはるかに超え、柱や梁に使用可能な構造用LVLに道を開いたのです。
また、高周波応用技術の新たな展開として食品機械分野にも進出しました。食品の乾燥・解凍・殺菌という、高いニーズがありながら技術的に遅れていた生産工程に変革をもたらしました。
食品分野では進出1年にして大型高周波連続解凍装置「テンパトロン」を開発しました。出力30キロワット・処理能力毎時1トンという大型機器は国際食品工業展に出展され、注目を集めました。
輸入ブロック肉の解凍には従来は水槽につける、スチーム加熱、水シャワーなどの方法が用いられてきましたが、テンパトロンは-20℃に冷凍されたブロック牛肉・豚肉・鳥肉・魚類などを5~15分で-2~-3℃まで連続して解凍。厚みのある冷凍ブロック肉の短時間均一解凍を可能にしたものです。
研究開発主導型の企業へ
開発は加速し、1999(平成11)年には硬質・軟質の厚物フィルム、不織布などの最適な溶着条件を調べることができる高機能高周波溶着条件設定装置を開発。同じ年には食品分野でも冷凍食品の解凍装置「テンパトロン」シリーズの新機種「テンパトロンFRT型」を開発。従来の連続式タイプを3分の1に省スペース化したもので、小規模の食肉加工メーカーにも設置が容易となるものです。
木工分野でも高周波による加工で、コストや効率を高め、しかも木が持つ素材としての良さをさらに引き出すことができるように開発を進めてきました。
2000(平成12)年には八尾工場において「2000年VINITAテクノフェア」を開催し、「高周波圧縮木材連続製造システム」「高周波蒸気複合乾燥装置」「高周波連続接着システム」の3つの新技術を発表しました。
この技術は大きく花開き、2003年には第48回木材加工技術賞を受賞。同年「第1回木材利用技術開発賞」では林野庁長官賞など、立て続けに賞に輝き、技術の山本の名を定着させました。
高周波蒸気複合乾燥装置「ディーウェル」は、社団法人日本住宅・木材技術センターの革新的技術開発促進事業の一環として半年に及ぶ実証実験を経て実用化に成功しました。機内に複数ブロックに分割して積んだ木材を蒸気乾燥し、順次高周波加熱するもので、乾燥の困難な杉の心持ち材でもコストを抑えて変色や割れの少ない高品質な木材乾燥を実現しています。
こうした成功を踏まえて、木工分野ではドイツ国際木工機械見本市 LIGNA展にも出展、大きな反響を集めました。
ビニール加工分野ではアジアを中心に輸出を広く行っており、国際的な歩みを確かなものとしています。
2014年には出力300KW、世界最大級の誘電加熱器を開発したことが新聞などに大きく採り上げられ、話題となりました。
さらなる変革 本当に作るべき製品を探して
しかし、従来の事業基盤を拡大発展させるだけではなく、社会の変化に柔軟に対応すべく、山本ビニターはさらなる変革を始めています。
またビニール加工で培った加工技術では、医療用部材や自動車部品など、より特化された高度な加工を提供しています。
これまではさまざまな時代の要請に応える形で研究開発を進めてきましたが、それだけではなく、社会の未来を見据えてよりイノベーティブな製品を生み出すため、新しく「商品開発センター」を開設。
ここではさまざまな出身部門の開発者が集まり、マーケティングを実施。全く新しい次世代の「本当に作るべき製品」を予測しながら各部門の開発を方向付ける役割を担っています。
ビニール生地の販売からスタートした会社から、あらゆるものを誘電加熱技術で温め、より良い暮らしを作るグローバルカンパニーへ。山本ビニターはこれからも変わり続けていきます。