高周波誘電加熱の応用例
7-15. 低温プラズマにおけるエッチング

半導体集積回路の製造において、エッチング技術は欠かせない重要なものです。プラズマを用いたエッチングはドライエッチングと呼ばれ、溶液によるウェットエッチングではできなかった超微細加工ができ、VLSIの発展に大きな寄与をしています。
半導体製造工程においては、高密度化に従ってトランジスタ、抵抗、コンデンサ等を形成するための細かい回路パターンの加工が必要とされるようになりました。決められた部分を削り取るには、(図7-11-1)に示すように、異方性特性が必要になります。現在、広く使われているものは反応性イオンエッチング(RIE)と呼ばれるもので、これは異方性特性にすぐれています。

図7-11-1/薄膜のエッチング形状

等方性

異方性

反応性イオンエッチング(RIE)は、イオンによるスパッタ特性とプラズマの化学的活性の特性を生かしたものです。
また、エッチング特性は、高周波の周波数により大きく特性が異なります。周波数によってはエッチングレートが高くなるものもあります。エッチングの切れ方がまっすぐになるかならないかに、周波数が関係する場合もあります。13.56MHzは主流の1つですが、最近は、ほかの周波数も種々使用されています。その1つにマイクロ波があげられます。マイクロ波は磁界と併用して用いられます。スパッタの項でも説明したように、直交する電磁界中では電子はサイクロトロン周波数で振動します。このサイクロトロン周波数とマイクロは周波数が一致すると共鳴をして放電開始電圧が下がるとともに、大きなエネルギーが得られます。この共鳴は、電子サイクロトロン共鳴と呼ばれます。
よく使われるωc=2450MHzのときに共鳴する条件は、磁束密度B=0.0875〔T〕です。
(高橋勘次郎氏監修「高周波の基礎と応用」より抜粋)