高周波誘電加熱装置
負荷電極は、被加熱物の形状や特性によってさまざまな形のものが用いられています。
以下では、代表的なものをいくつか取り上げて説明します。
平行平板電極
互いに平行な1 対の平板電極の間に被加熱物を挿入して加熱する方式で、一様な厚みをもつ誘電体の加熱に用いられます。(図 6-7-1)
最も応用範囲の広い電極配置形式で、多種類の被加熱物に利用されます。
図 6-7-1/平行平板電極
平行平板電極には、電極内の製品全体を加熱する全体加熱と、製品の一部分のみに電極をあて部分的に加熱する局部加熱があります。全体加熱の場合は被加熱物全体を加熱するので、木材接着などの場合には接着層以外の部分も加熱されてしまい、エネルギー効率が悪くなります。そのため、局部加熱により接着層のみを選択加熱することがおこなわれます。局部加熱の場合は、平行平板電極に補助電極を取り付けておこなうこともあります。(図 6-7-2)
ビニール溶着用の金型も、補助電極による局部加熱と考えることもできます。つまり、加工有効範囲の大きい平行平板電極に必要加工範囲の大きさの補助電極 (金型等) を取り付けて加熱することにより、装置の汎用性が確保できます。
図 6-7-2/補助電極を付けた平行平板電極
また、平行平板電極加熱の応用として多層電極加熱方法があります。木材減圧乾燥など、限定された空間内により多くの材料を入れて処理能力を上げる場合には、材料を立体的に高く積み、何枚かの電極を一緒に積み込んで給電をおこなっています。電極板は奇数枚で構成され、電極間隔は 500mm 以下(木材乾燥の場合の一般的な目安。周波数と被加熱物により異なる)となるように電極数構成をおこなっています。材料間の電極には給電せずに、電位だけを同一にする役割を持たせた中間電極を使用することもあります。
図 6-7-3/多層電極加熱方法のいろいろ
左).多層電極の基本構成 中).中間電極のあるもの 右).基本構成の組み合わせ
補助電極による局部加熱の応用のひとつに凍結食品原料(牛・豚・鶏などの畜肉、野菜、バターなど)の解凍があります。一般的に食品は、誘電体と導電体の両方の性質を持っています。凍結食品を高周波誘電加熱した場合、誘電損による発熱に加えて、解凍の進行に伴いジュール損(抵抗加熱)による発熱が徐々に重畳されていき、加熱分布が不均一になります。
特に表層部や四隅などのエッジ部は、中心部より解凍の進行が速くなりやすく、いったんこれらの部分の解凍が進むと中心部の解凍は進まず、表層部やエッジ部のみがより強く加熱され解凍ムラ、過加熱、煮えなどの損傷を起こしやすくなります。そこで(図6-7-4)のように対抗する平行平板電極を食品原料より小さい面積とすることにより、凍結食品の中心部に高周波電力を集中させ、表層部やエッジ部の加熱を弱め解凍ムラの少ない品質の良い解凍がおこなえるように工夫しています。
図 6-7-4/食品解凍用の平行平板電極
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