誘電加熱を起こす電磁波の種類
誘電加熱が起こる周波数が短波からセンチ波(3MHz~30GHz)の電波の帯域に限られている理由は、誘電加熱の元となる分子の激しい振動がその帯域でしか起こらないからです。その理由を説明する前に、まず、誘電分極の主なタイプには、配向分極、イオン分極、電子分極の3つがあることを説明いたします。この他に、界面分極というタイプもありますが、ここでは重要ではありませんので省略いたします。
- 1.配向分極
- 分子は通常、全体では帯電していませんが、ひとつの分子の中でプラスを帯びた部分とマイナスを帯びた部分が常時、偏在しているものがあります。それらの分子の向きは無電界の状態ではバラバラですが、電界がかかると偏在している部分が同一方向に整列します。このように分子のレベルで分極するのが配向分極です。
- 2.イオン分極
- 物質の中には陽イオンと陰イオンが引き合って結合している物質があります。無電界の状態ではイオンは規則正しく並んでいますが、電界がかかると陰イオンは陽イオンに結合されたまま、電界のプラスの方向に引っ張られ、逆に陽イオンは電界のマイナス方向に引っ張られます。その結果、プラスとマイナスの分布が電界の方向に偏り誘電分極が生じます。これがイオン分極です。
- 3.電子分極
- 原子はプラスの原子核とマイナスの電子から構成されていますが、電界が作用していないときは、原子の周りを回っている電子は均一に分布しているので原子全体では帯電していません。しかし、この原子に電界が作用すると。電子が電界のプラスの方向に引っ張られて、電子の分布が偏って誘電分極が生じます。これが電子分極です。
図2-4-1/誘電分極の3 つのタイプのモデル図
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