マイクロ波加熱の応用例
原子力関係業界
(1) 硝酸ウラニ-ル・プルトニウム混合溶液の脱硝
図19.3.39 脱硝生成物
原子力発電所で使用済みとなった核燃料にはプルトニウムとウランが存在し、原子力発電所用として再利用するため再処理工場でそれらを回収処理することになる。この処理過程では、先のプルトニウムとウランは硝酸に溶け込んだ「硝酸ウラニ-ルと硝酸プルトニウムの混合溶液」となっており、これをマイクロ波加熱により加熱・蒸発・熱分解反応させ硝酸分を除去(脱硝)し、最終的に図19.3.39に示すようなカルメラ状の混合酸化物(MOX:Mixed Oxide)を得るようになっている(このMOXを各種処理後、核燃料として再生、原子力発電用として再利用することになる:「核燃料サイクル」と称する)。
図19.3.40 脱硝装置構成ブロック図
実用のマイクロ波脱硝装置の概略構造は、図19.3.40に示すように、オーブン部は放射性物質が外界に漏れないようグローブボックス内(外気に対し-30mmAq程度負圧となっている)に収容され、マイクロ波発振機は放射性物質の汚染が無い作業エリアに据え付けられている。オーブンとマイクロ波発振機の間は導波管で結び、その間にアイソレータ、パワーモニタ、整合器などを設けてマイクロ波エネルギーをオ-ブンへ伝送している。導波管のグローブボックス貫通部は、放射性物質が外部へ漏れないように気密保持機構を三重に設けて安全性を確保(気密破壊検出器機構付属)している。被処理物は臨界管理され受皿に所定量受け入れ、ターンテーブルで回転しながら加熱処理し、その過程は重量・温度をモニターしている。照度計は酸化物が出来上がる際に、加熱ムラにより一部赤熱するため、その明るさ(0.03lx程度)をモニターし、処理終了のバックアップ信号として利用している。
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