マイクロ波加熱の応用例
木材関係業界
(2) 木材の曲げ加工
図19.3.23 木材の曲げ例
水分を十分吸収させた木材をマイクロ波電力により100℃程度に加熱すると柔らかくなり、曲げ易くなる。この状態で材木を曲げ加工拘束ジグに固定しマイクロ波加熱により乾燥・冷却すると図19.3.23のような曲げられた材木が得られる。例えば、椅子、テーブル、サイドボードなどの家具製造工程で、大形拘束ジグを内蔵した発振出力数kW~数十kWの装置が利用されている。
尚、材木の端面を塗料・接着剤などで固めると蒸発水分の抜けが抑制されるため材木内部温度を110℃程度まで昇温させることが可能であり、より軟化させることも可能となる。
図19.3.24 竹材の平板化例
更に、竹の場合も木材と同様に加熱すると軟らかくなるが、真竹などの半割材を平らに展開(フラット化)するためのプレス機構を内蔵した、発振出力数kW、周波数2.45GHzの加熱装置で処理を行っている。
フラット化した竹板の利用目的としては、フローリング材や図19.3.24に示す花瓶台などがある。
(3) 木彫り熊など木工品の乾燥
図19.3.25 木彫り熊マイクロ波加熱乾燥装置
荒彫り後の木彫り熊をマイクロ波加熱により加熱して、木材からの蒸発水分をオーブン内に閉じ込めて蒸し風呂状態で乾燥処理している。その後、仕上げ彫を行なうが、この蒸し風呂乾燥処理を実施するとクラックが入りにくい製品が得られる。
図19.3.25 に示す発振出力 数kW、周波数2450MHzのバッチ式の加熱装置が北海道地区などで多用されている。
(4) 木酢・竹酢の抽出
木材・竹より抽出される木酢・竹酢は入浴剤(アトピー症状の改善)、化粧品などに利用されているが、これらの抽出に内部加熱であるマイクロ波加熱を利用している例がある。尚、木酢・竹酢の回収率をよりアップするために減圧条件下でマイクロ波加熱が可能な構造になっており、蒸し焼き状態にし効率良く抽出している。
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