所要マイクロ波電力の算出法
3.所要マイクロ波電力
(2) 水分乾燥の場合
① 理論計算結果
水を含んでいる初期温度T(℃)の被加熱物を100(℃)まで加熱・昇温して、水分を蒸発・乾燥処理させて含水量W1(kg)をW2(kg)に加熱時間1時間で蒸発・減少させることとする。この場合に必要な熱量Q0(kcal/h)は、次式の通りとなる。
Q0=Co×Mo×(100-T)+W1×(100-T)
+539×(W1-W2) (kcal/h) ・・・・・(21.3.3)
ここで、
Co;物質の絶乾時の比熱[kcal/(kg・℃)]
Mo;物質の絶乾時の処理量(kg/h)
となる。
尚、(21.3.3)式中の数値「539」は大気圧の場合の水の気化熱であり、処理圧力を変えた場合は、圧力相当の気化熱の値を利用する必要がある。
算出された熱量Q0(kcal/h)よりマイクロ波吸収効率ηを加味したマイクロ波電力P1(kW)を求めるには下記(21.3.4) 式を用いる。
P=1.16×10-3×Q/η (kW) ・・・・・(21.3.4)
この場合も吸収効率ηは加熱の場合と同様に70(%)程度とする。
尚、1(時間)に水1(l)を加熱・蒸発処理するのに必要なマイクロ波電力は、吸収効率を「0.7」とすると約1(kW)となる。この「1(h):1(kg):1(kW)」の関係を知っておくと非常に便利である。
② 計算例
初期含水率40(%、湿基準)、絶乾での比熱0.20[kcal/(kg・℃)]、初期温度20(℃)の被加熱物を処理量100(kg/h)として絶乾状態まで乾燥する場合の概算電力を求める。
1時間あたりに蒸発させる水分は
100×0.40=40(kg/h)
であるから、
「1h→1kg→1kW」関係から
「1h→40kg→40kW」
となる。ちなみに式(21.3.2)式から求めた所要マイクロ波電力は約48(kW)となる。約8(kW)の違いは、乾物の温度上昇分であり、含水率が小さくなればこの差はより小さくなる。
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