所要マイクロ波電力の算出法
所要マクロ波電力算出の位置付け

1.所要マイクロ波電力算出の位置付け

(1) 引き合い装置の見極め

マイクロ波加熱装置の引き合いがあった場合、まず検討するのが引き合い装置の所要マイクロ波電力である。この所要マイクロ波電力を算出することにより、引き合い装置の規模、概算価格、ランニングコストなどが算出可能となる。この段階で客先に「この程度の設備価格、ランニングコストになる」旨を伝えることにより、客先が今後の方針即ち「高価で手が出ない」ので引き合い中止、「この程度ならやれる」で引き合い継続との判断が可能となり、メーカ側としては客先を「篩にかける」ことが可能となる。設備価格も高くてランニングコストも決して安価ではないマイクロ波加熱装置で商売をする場合は、この「篩にかける」ことはメーカ側の開発・技術・設計・営業部門の客先対応などに費やす無駄な労力を省くためにも重要なことと言える。

(2) 処理条件の見極め

所要マイクロ波電力の算出は、客先より提示される処理条件により算出することになるが、この処理条件を客先より正しく聞き出すことも重要である。即ち、処理量などは、客先は希望的観測を込め実際の計画処理量より多めに提示するのが一般的である。従来の外部加熱の装置では、この処理量と所要熱量などの装置規模の関係はあまり厳密でなく曖昧ところがあり、処理量を段階的に区切った設備を用意していることが多い。

しかしながらマイクロ波加熱装置の場合、所要マイクロ波電力は処理量に比例して左右され、即価格に反映することになるため、処理条件の明確化は絶対必要である。従って、処理条件である「材料・材質、処理量、加熱か…? 乾燥か…? 反応か…? 温度条件(初期温度、到達温度)、含水率の条件(初期及び処理後、乾基準…? 湿基準…?)、比熱、融解熱、気化熱」など正しい値を入手することが必要となる。当然、比熱・融解熱・気化熱など水であれば特に問題ないが、他の物質では不明なことも多い。このような場合「この処理条件(含水率、乾物の比熱など仮定)で算出する」と説明し、客先の了解を得ておくことも必要となる。