マイクロ波プラズマ処理
マイクロ波プラズマ処理装置の概要

(3) マイクロ波プラズマ処理装置の概要

図20.3.1 にマイクロ波プラズマ処理装置の構成ブロック図を、図20.3.2 はプラズマ処理装置の外観を示している。
ここで各機器の概要を記述する。

図20.3.1 マイクロ波プラズマ処理装置・構成ブロック図

(1) マイクロ波発振機:
…1.5kW,2.45GHz。 (2) マイクロ波伝送系立体回路:
…導波管、アイソレータ、パワーモニタ、整合器など。
(3) プラズマ発生部:
…導波管形プラズマ発生炉、プラズマ発生管など。
(4) 処理ガス供給系:
…ガスボンベ、流量計など。
(5) プラズマ処理室:
…一般にSUS304製。
(6) 排気装置:
…真空ポンプ、メカニカルブースタ、各種真空弁(バルブ)、配管など。
(7) 制御部:
…各部動作、処理ガス流量・真空度制御など。

などから成っている。

図20.3.2 マイクロ波プラズマ処理装置の外観

マイクロ波発振機より出力されたマイクロ波はアイソレータ、パワーモニタ、整合器などを経てプラズマ発生炉へ導かれる。処理ガスに電離エネルギーを吸収させる定在波導波管形プラズマ発生炉は、導波管中央の電界最大部にプラズマ発生管が貫通保持される構造となっており、終端部はマイクロ波エネルギーを反射させ石英管付近に定在波の山が立つよう調整用のプランジャー(摺動短絡板)で短絡されている。

プラズマ発生管の上流側はガス流量計(マスフローメータなども利用)、圧力調整弁などを介しガスボンベが接続される。下流側の活性化されたガスは最短距離で処理室に導入され被処理物との反応に利用され、残りは排気装置にて処理室外部へ排出される。フレオンガスなどの特殊なガスを使用する場合は公害対策或いは安全上の観点から、排出点で何らかの無害化処理が必要な場合もある(酸素や窒素ガスの場合は不要)。

プラズマ処理室は被処理物の種類、形状、処理条件などを考慮して寸法、構造が決められるが、材質は通常ステンレス材が使用される。排気装置は処理装置の系全体を排気するもので、一般的にはル-ツ式或いは油回転式真空ポンプを使用するが、必要に応じメカニカルブースタポンプを併用し排気時間の大幅短縮を図ることもある。制御部は装置構成機器類の集中操作・制御を行うもので、生産ラインの場合には自動運転が行われる。