マイクロ波加熱の応用例
紙・印刷・塗装関係業界
(4) 断熱カップの発泡処理
図19.3.35 コップ発泡処理加熱炉
定在波式加熱炉を利用した加熱対象物はパイプ内を通過する牛乳、酒、飲料水のような液体或いはジャムのような粘性のある流体が多いが、流体以外の加熱例をここで紹介したい。
それは即席ラーメンなどを入れる容器や自動販売機で熱いコーヒーなどを入れる紙コップの断熱機能生成の処理例である。
これらの食材は熱湯が入ることが条件であり、容器は火傷防止の観点から断熱構造にする必要がある。コップの材料の断面は紙・ポリエチレン(PE)フィルム・発泡シート(水を含んだPE)など複数の層からなっており、発泡シートを加熱することにより発泡処理を行なっている。実際にはコップの形状に組み上げられたコップをコンベヤで一列に連続的に搬送しながら、200℃程度の加熱炉内を2分程で通過させる所謂外部加熱により発泡処理を行っている。
この従来の外部熱源に代えて内部加熱であるマイクロ波加熱でも格段に早く発泡させることが可能である。加熱炉は既に説明した図13.4.18を基本に図19.3.35に示す定在波導波管形加熱炉相当(炉の大きさはコップの大きさに合わせる)にターンテーブルを組み込んだ構造となっている。加熱処理条件は発振出力1.5kW、加熱時間7~8秒で発泡処理可能である(整合器を利用したマッチングは必要で、マッチング無しでは発泡処理は不可能である)。加熱時間10秒を超えると焦損してしまう結果となっている。尚、図中の摺動短絡面からの距離「λ/4」の位置はカップの中心でなく、カップの中心(ターンテーブルの中心)よりズレタ位置となっている。
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