マイクロ波加熱の応用例
窯業関係業界
(2) 陶磁器などの焼成
陶磁器などの焼結処理用として、マイクロ波を吸収する断熱材或いは断熱材にマイクロ波を吸収する炭化珪素(SiC)などを貼り付けたものを利用したトンネルをマイクロ波オーブン内に設け、炭化珪素をマイクロ波エネルギーにより千数百℃に加熱し、焼成対象品をそのトンネルの中を通過させることにより、短時間に焼成する装置を開発したという機関がある。しかしながら、このような装置の基本は、かなり以前に商品化されているアートボックス(マイクロ波を吸収する材料を内面に塗布した断熱ボックスがあり、このボックスの中に絵付けなどの焼成対象品を入れ、電子レンジで加熱・高温に加熱し、絵付け焼成処理するもの。窯業機械メーカ製)があり、単にこれをコンベヤ形マイクロ波オーブン内に設けただけのことと思え、二番煎じの印象を免れない。
(3) 押出し成形後のハニカム(セラミック)の乾燥/焼成後ハニカムの薬液乾燥
自動車排気ガス処理用セラミック製ハニカムを製造する場合、コ-ジライトや炭化珪素などを押出し成形したハニカムの乾燥にマイクロ波加熱を利用している。ハニカムの場合、空間が多いため従来の外部加熱法では熱の伝わりが悪く、内部と外部の乾燥度合いがアンバランスとなってクラックが発生することが多い。しかしながら、マイクロ波加熱ではハニカム全体が発熱・水分蒸発し乾燥度のアンバランスが少なくクラックの発生を抑えることが可能である。尚、ハニカムの細い穴の中の蒸発水分を除去するには熱風を吹き付け強制的に排出する構造となっている。
焼成後のハニカムには、ある種の薬液を焼き付けるが、薬液ジャブ付け後のハニカム内の薬液の急速乾燥にも同じくマイクロ波加熱を利用している。何れの場合の装置も、生産量が多いため発振出力は数十kW~200kW前後で、ハニカム内の蒸発水分を強制排除するため熱風を併用している例が多い。尚、最終段階の焼成には外部加熱を利用している。
(4) フェライトなどの乾燥
プレス成型されたフェライト内のバインダ-の除去に、マイクロ波加熱の特徴である内部加熱を利用している。このフェライトはマイクロ波エネルギ-の吸収度合いが比較的大きく、小さなマイクロ波オ-ブンで効率よく加熱処理が可能である。但し、PD値(単位重量当りのマイクロ波電力量;W/kg)を適切に設定しないとセラミックにクラックが入るので注意が必要である。
出力は数kW~十数kWで、ベルトコンベヤ或いは小形部品の場合には振動コンベヤ(トラフには石英を利用)を利用することもある。
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