安全基準など法的規制
1.高周波使用の際の「安全基準」と「設備規則」

高周波やマイクロ波などの電波を使った加熱装置の設置と使用においては、人体への影響についての「安全基準」と無線通信などの混信を防ぐための「設備規則」の2つを満足させる必要があります。

人体への影響についての安全基準とは、「電波防護指針(平成2年)」と言われるガイドラインのことで、電波利用設備からの漏洩電波の電界強度、磁界強度、電力密度について、工業用(職業人)と民生用(一般人)に区別して基準値を示したものです。装置メーカーは、装置からの漏洩電波がこれらの指針値の基準内に収まるように製造販売をおこないます。

一方、無線通信などの混信を防ぐための利用規則は、「電波法および無線設備規則(昭和25 年)」に示されています。電波を使った装置を使用する使用者は、一定の要件を整えて総合通信局へ使用設置許可の申請をおこない、その使用許可を得る必要があります。さまざまな周波数の電波が、公共の無線通信に使われていますので、お互いの混信や雑音妨害を避けるために利用目的に応じて使用周波数(ISMバンド)の割り当てが決められています。高周波やマイクロ波帯では6 つの周波数の割り当てが定められており、これらの周波数の漏洩電波については、制限がありません。これら以外の周波数を使用する場合は、漏洩する電波の放射電界強度を一定の基準内に収めないと使用できません。