誘電加熱を起こす電磁波の種類
2.電磁波の周波数と波長

ここまで、高周波回路や高周波の電磁波が誘電加熱を起こすと説明してきました。ではここで、もう一度、周波数について説明しておきましょう。

周波数というのは周期的な現象が1秒間に何回繰り返されるかを示す値です。電磁波の場合の周波数とは、波の1サイクルが1秒間に繰り返される回数のことです。(図2-2-1)のように、1秒間に60回の波が繰り返される場合は、周波数は60Hz(ヘルツ)となります。Hz(ヘルツ)とは周波数を表す単位です。
一方、波長とは波の1サイクルの幅をいいます。別の見方をすれば、波長とは波の1サイクル当たりの進む距離を示しています。なお、電磁波の伝わる速さはどんな種類でも、すべて光の速さと同じです。次のページで紹介しますが、そもそも、光自身も電磁波の仲間です。したがって、周波数が高くなればなるほど、1サイクル当たりの波長は短くなります。

たとえば、FM放送で使われる電波も電磁波の一種ですが、その周波数は約3×107Hzの帯域にあります。波長が約10mです。これは約10mの幅の波が1秒間に約3000万回も繰り返されていることになります。携帯電話で使われる電波の周波数は約3×109Hzの帯域にあるので、波の数は1秒間に約30億回です。
なお、10の6乗はM(メガ)、10の9乗はG(ギガ)という表現がありますので、それに置き換えると、FM放送用の電波の帯域である3×107Hzは30MHz(メガヘルツ)と表現できます。実際のFM放送の周波数は、NHK大阪FMが88.1MHz、FM802が78.3MHzです。同様に、携帯電話の帯域である3×109Hzは3GHz(ギガヘルツ)と表せます。実際に携帯電話に割り当てられている帯域は、1.5GHz、1.7GHz、2.0GHzなどです。

図2-2-1/周波数と波長との関係