電波とマイクロ波とISMバンド
電波防護指針による安全性確保

以上、マイクロ波加熱装置からの漏洩マイクロ波エネルギーの我が国での規制を電波法関係からのみ説明 してきたが、人体への安全関係については、電波防護指針「諮問38号“電波利用における人体の防護指針” (電気通信技術審議会)1990(H2)-6答申」などに安全に関する指針値が示されており、この指針値を用いた 自主規制を行なっているのが実状である。

電波防護指針には「電波利用において人体が電磁界に晒される時、その電磁界が人体に不要な生体作用を 及ぼさない安全な状況であるために推奨される指針である」とあり、即ち人体の深部体温上昇、電流刺激、 高周波熱傷など異常発生が無い指針値が示されている。指針値の詳細は後半の「26.電波防護指針・安全 基準・使用許可申請」を参照願いたい。

一般的なマイクロ波加熱装置では、装置外周から50mm或いは100mm離れた位置で(照射部形式に より各メーカが使い分けている)、この指針値をクリアするように各メーカが自主規制していると云える。 これは加熱装置のマイクロ波エネルギー漏洩部から50mm或いは100mm以内に、装置取扱者が絶えず 近接していることは想定し難く、通常は前記寸法よりも離れた位置で作業することが多いと考えられるので、 より安全な電磁界環境が確保されていることになる。

以上、郵政省告示257号に例外規定があるからとして、人体への安全面からはマイクロ波エネルギーを 無制限に漏洩させても良いということにはならないので注意が必要である。